表参道布団店の布団作り STEP2 羽毛布団の側縫製
STEP2 羽毛布団の側縫製
ハタオリ産地にこだわる理由
近年、ハタオリ産地と注目されている山梨県富士吉田市ですが、スタートアップ時、この地区にある10名程の小さな縫製工場で羽毛布団の縫製をお願いする事になりました。
社内のプロダクト担当者の紹介で、腕の良い職人さんが多く小回りが効くという理由がきっかけでした。この街の縫製工場は小さい工場が多くあり、その中の2つの工場にお願いしました。
ところが2年前、このうちの1つの縫製工場の工場長が重病を患い、突如休業することになりました。*半年の休業後、工場長は病を無事克服し現在は再開しております。
その当時、私自身が経験したエピソードを交えながらお話していきます。
当時、表参道布団店の売上は順調に伸びており、当初から今の小さい縫製工場だけでは将来的に生産が追いつかなくなると考えておりました。
私は今回の件をきっかけとして国内にある大手の縫製工場に切り替えるタイミングだと考え縫製サンプルの依頼をしました。
正直、縫製の品質というものをそれまで意識してこなかった私にとって、仕上がりの品質の低さに驚きました。その後もサンプルを何枚も作成しましたが、残念ながら機械も職人さんも以前の縫製工場の品質とは程遠いものでした。
理由は国内の大手布団縫製工場では柄物の生地の為、縫製はやっておらず、中国で大量に縫製したものを輸入して使用している為でした。
当然この工場は断念いたしましたが、今までの縫製の品質が当然と考えていた私にとって、小さな一つの工場だけではこの先様々なリスクがあると考え、布団工場以外でも技術がある他業種の縫製工場を探しました。
国内の小さい布団縫製工場はもちろん、アパレル縫製工場、カーテン縫製工場など多業種の縫製工場にサンプル依頼をしましたが、どの工場も以前の工場の品質には劣りました。
後に勉強したところ、河口湖の隣に位置し富士山のふもとにあるこのハタオリ地区の縫製工場は、古くは布団ではなく、機屋で織物の縫製を専門にする日本唯一の地区でした。
今回の経験から、この歴史と伝統があるハタオリ地区で作る縫製に勝るところはないと今は強く感じています。
私は工場長の復帰後、考えを改めました。ネットで生活用品は安く即日届く時代ですが、生産コストや速さには目をつぶり、細部まで私達の目の届く確かな技術を持った職人さんと、ミニマムな体制で仕事をする事を徹底いたしました。
現在私達を担当している職人さんは女性3名のチーム編成(勤続30年以上の方が1名、20年以上の方が1名、今年で6年目の方が1名)で行っております。
時期によっては注文数が増え、1ヶ月以上お待ちいただいたお客様もいましたが、どのような理由があっても他の縫製工場には依頼せず、お客様に納期を待って頂き、この3人チームのペースで生産して頂いております。
2本針のミシンを使いながらすべて手縫いで行う縫製。お買い上げ頂いたお客様は布団の隅々まで見ていただければ、そのクオリティの高さがお分かりなっていただけると思います。
写真左の縫製仕上がりが、大手布団メーカーと取引がある一般的な工場。
写真右の縫製仕上がりが、私たちが取引する工場です。