夏用の布団は、しまい方を間違えると翌年に黄ばみ・におい・カビが出ます。逆に言えば、しまう前に「洗う・乾かす・通気性のある袋に入れる」の3つを守るだけで、来年もそのまま使える状態を保てます。
この記事では、肌掛け布団(ダウンケット)・タオルケット・敷きパッドといった夏寝具の正しいしまい方を、素材別・手順別に解説します。圧縮袋を使ってよいのかという疑問にも答えます。
この記事でわかること
- 夏布団をしまう前にやるべき3ステップ
- 素材別の洗い方と、洗えない場合の代替手段
- 圧縮袋を使ってよい寝具・いけない寝具
- しまう場所と収納の並べ方
- 夏布団をしまう時期の目安
結論|しまう前の3ステップ
- 洗う:カバー類は洗濯。本体は洗濯表示に従って洗えるものだけ洗う
- 完全に乾かす:表面ではなく、中身まで乾かす。ここが最重要
- 通気性のある袋に入れて、湿気の少ない場所へ:不織布の袋が基本。圧縮袋は羽毛には使わない
この3つを守れば、翌シーズンのトラブルはほぼ防げます。逆に、どれか一つでも欠けると問題が起きます。
夏寝具のトラブルの原因は、ほぼすべて「湿気」です。汗、湿度、そして洗ったあとの乾燥不足。この3つの水分をいかに残さないかが、しまい方の本質です。
ステップ1|洗う
なぜ洗ってからしまうのか
ひと夏使った寝具には、汗・皮脂・角質が蓄積しています。これらは見た目には汚れていなくても、時間をかけて酸化し、黄ばみとにおいに変わります。また、皮脂はダニやカビの栄養源になります。
「来年出したときに洗えばいい」と考えると、半年間ずっと汚れを閉じ込めた状態で保管することになり、黄ばみが定着して落ちなくなります。
素材別の洗い方
| 寝具 | 家庭で洗えるか | 注意点 |
|---|---|---|
| 肌掛け布団(ダウンケット) | 洗濯表示による。洗えるものが多い | 乾燥が最重要。中まで乾かす |
| タオルケット | 洗える | 他の洗濯物と分けて、単独で洗う |
| 敷きパッド | 洗える | 洗濯ネット使用。ゴムの劣化に注意 |
| 掛け布団カバー・シーツ | 洗える | 通常の洗濯でよい |
| い草・麻の敷きもの | 洗えない | 固く絞った布で拭き、陰干し |
肌掛け布団(ダウンケット)を洗う手順
羽毛の肌掛けは、洗濯表示に「水洗い可」または「洗濯機可」とあれば家庭で洗えます。充填量が少ないため、冬用の本掛けより格段に洗いやすい寝具です。
- カバーを外し、洗濯表示を確認する
- 目立つ汚れがあれば、中性洗剤を薄めて部分的に叩き洗いする
- 大きめの洗濯ネットに、屏風たたみにして入れる
- おしゃれ着用の中性洗剤を使い、「大物洗い」「毛布」コースで洗う
- すすぎは2回以上。洗剤が残ると羽毛が固まる
- 脱水は短めに(1分程度)
洗濯機の容量が足りない場合は、コインランドリーの大型機を使う方法もあります。詳しくは布団のコインランドリーでの洗い方完全ガイド|羽毛・掛け布団・正しい手順と注意点、ダウンケットに特化した内容はダウンケット(肌掛け布団)の洗い方|自宅・コインランドリー・クリーニングを専門店が解説をご覧ください。
洗えない場合の代替手段
洗濯表示が「水洗い不可」の場合、または洗える自信がない場合は、次のいずれかを選んでください。
- 風を通す:日陰で半日ほど干し、湿気を抜く。汚れは落ちないが、においとカビは防げる
- クリーニングに出す:羽毛を扱えるクリーニング店を選ぶ。羽毛布団をクリーニング専門店に出すときの注意点を参照
- カバーだけ洗う:本体をカバーで守っていた場合、これで十分なことも多い
ステップ2|完全に乾かす
ここが最も重要で、最も失敗しやすい工程です。
なぜ乾燥が最重要なのか
羽毛は水分を含むと束になって固まります。表面が乾いていても、内部に水分が残っていると、その状態のまま半年間密閉されることになります。結果として、翌年に開けたときに「固まっている」「においがする」「カビが出ている」という事態になります。
実際、羽毛布団のトラブルで最も多いのが、この乾燥不足に起因するものです。
正しい乾かし方
- 脱水後、すぐに広げて形を整える
- 物干し竿2本にまたがるように、M字型に干す(空気が通る面を増やす)
- 風通しのよい日陰で干す。直射日光は避ける
- 2〜3時間おきに裏返し、位置をずらす
- 途中で数回、手で叩かずに「ほぐす」ように羽毛を散らす
- 最低でも丸一日、できれば2日かける
乾いたかどうかの確認方法
布団全体を手のひらで押さえながら、隅から隅までなでてください。ひんやりする部分、硬く固まっている部分があれば、そこにまだ水分が残っています。とくに四隅とキルトの縫い目付近は乾きにくいので、念入りに確認してください。
不安な場合は、コインランドリーの乾燥機で低温・短時間(20〜30分)仕上げをかけると確実です。高温で長時間かけると生地が傷むため、低温設定にしてください。
「触って冷たい=まだ湿っている」。羽毛布団が乾いていれば、全体がほんのり温かく、軽く感じられます。
直射日光を避ける理由
紫外線は羽毛の油分を損ない、繊維をもろくします。また側生地も劣化し、黄ばみの原因になります。「よく干す=天日に当てる」というのは綿布団の常識で、羽毛布団には当てはまりません。
詳しくは羽毛布団の正しいお手入れ・メンテナンス方法 〜カビを防ぐ干し方編をご覧ください。
ステップ3|しまう
収納袋の選び方
使うべきは不織布の収納袋です。通気性があり、湿気がこもりません。布団を買ったときについてくる袋は、たいていこのタイプです。
避けるべきは次の2つです。
- ビニール袋・密閉できるプラスチックケース:湿気が逃げず、カビの温床になります
- 圧縮袋(羽毛の場合):後述します
圧縮袋は使ってよいのか
寝具の種類で判断が分かれます。
| 寝具 | 圧縮袋 | 理由 |
|---|---|---|
| 羽毛の肌掛け布団 | 長期は避ける | ダウンの繊維が折れ、膨らみが戻らなくなる |
| タオルケット | 使ってよい | 綿の繊維は圧縮で復元不能になりにくい |
| 化繊の肌掛け | 短期なら可 | 長期はへたりの原因 |
| 敷きパッド(綿・化繊) | 使ってよい | 厚みが復元しなくても機能への影響は小さい |
どうしても羽毛を圧縮する必要がある場合は、完全に空気を抜くのではなく、半分程度の厚みまでにとどめ、期間も1〜2か月以内にしてください。羽毛布団と圧縮袋の関係は羽毛布団を圧縮しても大丈夫?NG理由・正しい保管方法・復活法を専門店が解説で詳しく解説しています。
たたみ方
羽毛の肌掛けは、きつく折らずに「ふんわり三つ折り」が基本です。折り目を強くつけると、その部分の羽毛が偏ります。袋に入れたあとも、押し込まずに余裕を持たせてください。
しまう場所
湿気は下にたまります。押し入れなら上段、クローゼットなら高い位置が適しています。
- 床や壁に直接触れないよう、すのこを敷く
- 壁から5cm程度離す
- 重い布団を上に積まない(下の布団が潰れる)
- 除湿剤を置く場合は、布団の下ではなく脇に置く(湿気は下に降りるため)
- 年に1〜2回、収納場所を開けて風を通す
防虫剤の使い方
羽毛や綿の寝具は、虫害を受けることがあります。防虫剤を使う場合は、布団に直接触れさせず、収納スペースの上部に置いてください。成分が気化して下に降りるため、上に置くのが効率的です。種類の異なる防虫剤を併用すると成分が反応することがあるので、一種類に統一してください。
夏布団をしまう時期
「何月に」ではなく、「使わなくなってから、晴れた日に」が正解です。
| 地域 | 肌掛けを使い終える目安 |
|---|---|
| 北海道・東北 | 8月下旬〜9月上旬 |
| 関東・東海・近畿 | 9月中旬〜下旬 |
| 九州・沖縄 | 10月上旬〜中旬 |
重要なのは、しまう日の天気です。雨の日や湿度の高い日にしまうと、袋の中に湿った空気を閉じ込めることになります。数日晴れが続いたあとの、乾燥した日を選んでください。
また、慌てて全部しまわないことも大切です。秋口は日によって寒暖差が大きいため、肌掛けは10月に入るまで手の届く場所に置いておくと安心です。
冬寝具への切り替え時期は合い掛け布団おすすめの選び方|春秋に最適な羽毛合い掛け布団を専門店が解説もあわせてご覧ください。
収納場所別の注意点
同じようにしまっても、置く場所によって翌年の状態は変わります。湿気は空気より重く、下にたまるためです。
| 場所 | 適性 | 注意点 |
|---|---|---|
| 押し入れの上段 | ◎ | もっとも適している。重いものを上に積まない |
| 押し入れの下段 | △ | すのこを敷いて床から浮かせる。除湿剤を併用 |
| クローゼットの上棚 | ◎ | 高い位置なので湿気が少ない |
| ベッド下 | △ | 床に近い。すのこで浮かせ、月1回は風を通す |
| 家具の上 | ○ | 湿気は少ない。ホコリ対策に袋は必須 |
| 納戸・物置 | △ | 換気の有無による。結露しやすい場所は避ける |
| 屋外の物置 | × | 温度・湿度の変動が大きい。カビと虫害のリスク |
| 水回りに隣接した収納 | × | 浴室・洗面所の隣は湿度が高い |
共通して守ること
- 床に直接置かず、すのこや棚を使う
- 外壁に面した壁から5cm程度離す(結露を避ける)
- 上に重いものを積まない
- 年に1〜2回、扉を開けて風を通す
防虫剤と除湿剤の使い方
防虫剤
綿や羊毛の寝具は、ヒメマルカツオブシムシなどの食害を受けることがあります。羽毛も例外ではありません。
- 布団に直接触れさせない:成分が付着し、シミの原因になることがあります
- 収納スペースの上部に置く:防虫成分は気化して下に降りるため、上に置くほうが効率的です
- 種類を混ぜない:異なる成分を併用すると化学反応を起こし、液化してシミになることがあります
- 有効期限を守る:効果が切れた防虫剤は意味がありません
除湿剤
- 布団の脇か下に置く:湿気は下に降りるため、上に置いても効果が薄くなります
- 定期的に確認する:吸湿しきった除湿剤は機能しません。夏場は特に減りが早くなります
- すのこと併用する:床からの湿気を物理的に断つほうが効果的です
新聞紙は使わない
除湿目的で新聞紙を挟む方法が紹介されることがありますが、インクが寝具に移る可能性があります。羽毛布団やカバー類には使わないでください。
翌年、出すときの手順
しまうときと同じくらい、出すときも大切です。
- 袋から出して広げる:平らな場所に、たたまずに広げます
- 風を通す:風通しのよい日陰で2〜3時間。直射日光は避けます
- 軽く振ってほぐす:端を持って上下に数回。布団たたきで叩かないでください
- においを確認する:収納中のにおいは、多くが湿気由来。乾燥すれば消えます
- 状態を点検する:カビの点、虫食い、羽毛の片寄りがないか
- 洗ったカバーを掛ける:しまう前に洗っていても、収納中にホコリを吸っています
カビを見つけたら
| 状態 | 対処 |
|---|---|
| 白い粉状のもの | ホコリの可能性。払って様子を見る |
| 黒い点が数か所 | 消毒用エタノールを含ませた布で叩き、完全に乾かす |
| 黒い点が広範囲 | 家庭では除去困難。クリーニングを検討 |
| 内部からにおう | 羽毛自体にカビ。クリーニングまたは買い替え |
漂白剤は使わないでください。側生地を傷め、色落ちの原因になります。
翌年の再発を防ぐ
- 収納袋を新しいものに替える
- 収納場所を高い位置に変える
- すのこを敷いて床から浮かせる
- 除湿剤を置き、定期的に交換する
寝具別のしまい方
タオルケット
洗濯機で洗い、しっかり乾かしてからたたみます。綿100%のものは天日干しで問題ありません。圧縮袋も使えます。
敷きパッド
洗濯ネットに入れて洗い、日陰で干します。四隅のゴムは劣化しやすいので、引っ張らずに扱ってください。たたむときはゴムの部分を内側にすると型崩れしません。
い草・麻のラグや敷きもの
水洗いできません。掃除機でホコリを吸い、固く絞った布で拭いてから、日陰で十分に乾かします。丸めて保管し、折りたたまないでください。防虫剤を併用します。
冷感素材(接触冷感)のシーツ・パッド
多くは洗濯可能ですが、柔軟剤を使うと冷感機能が落ちることがあります。洗濯表示を確認し、柔軟剤は控えてください。
よくある質問
夏布団はいつしまえばいいですか?
使わなくなってから、数日晴れが続いた乾燥した日にしまってください。関東平野部なら9月中旬から下旬が目安ですが、10月に入るまでは取り出しやすい場所に置いておくと安心です。
洗わずにしまってもいいですか?
おすすめしません。汗と皮脂が半年間残ると、黄ばみが定着して落ちなくなります。本体が洗えない場合でも、カバーは必ず洗い、本体は風を通してからしまってください。
羽毛の肌掛けを圧縮袋に入れてもいいですか?
長期保管には向きません。ダウンの繊維が折れ、翌年に膨らまなくなります。不織布の袋に、ふんわりたたんで入れてください。
クローゼットに湿気がこもるのですが
すのこを敷いて床から離し、壁から5cm程度離してください。除湿剤は布団の脇に置きます。年に1〜2回、扉を開けて風を通すだけでも違います。
しまっていた布団からにおいがします
多くは湿気によるものです。風通しのよい日陰で数時間干せば消えます。カビ臭が取れない場合はクリーニングを検討してください。においの原因と対処は羽毛布団の臭いの原因と消し方【専門店が解説】にまとめています。
夏用の羽毛布団は何年くらい使えますか?
充填量が少ないぶん、冬用より使用期間中の負荷は小さく、適切に手入れすれば10年前後は使えます。ただし夏は汗の量が多いため、毎年きちんと洗って乾かすことが前提です。
来客用の布団もしまい方は同じですか?
同じです。むしろ来客用は使用頻度が低く、そのまま何年も収納されがちなため、注意が必要です。年に1〜2回は取り出して風を通してください。
使っていない布団でも、収納中の湿気を吸ってカビが出ることがあります。「使っていないから大丈夫」ではありません。
マンションで押し入れがない場合は?
クローゼットの上棚がもっとも適しています。高い位置は湿気が少なく、通気も確保しやすい場所です。ベッド下を使う場合は、すのこで床から浮かせ、通気性のある袋を使い、月に一度は風を通してください。
圧縮袋を使ってしまった布団は元に戻りますか?
期間と圧縮の度合いによります。数か月程度で、完全に空気を抜いていなければ、広げて数時間風を通せば回復することがあります。
半年以上、完全に圧縮していた場合は、ダウンの繊維が折れて戻らないことがあります。この場合は打ち直しで羽毛を洗浄・補充する方法があります。
防虫剤は羽毛にも必要ですか?
綿や羊毛ほどではありませんが、羽毛も虫害を受けることがあります。密閉性の高い収納であれば必須ではありませんが、和箪笥や古い押し入れでは使ったほうが安全です。布団に直接触れさせず、収納の上部に置いてください。
まとめ
- 夏布団をしまう前にやるべきは「洗う・完全に乾かす・通気性のある袋に入れる」の3つ
- 最も重要なのは乾燥。表面ではなく中身まで乾いているかを手で確認する
- 羽毛は直射日光を避け、日陰で丸一日以上干す
- 羽毛の肌掛けに圧縮袋は使わない。タオルケットや敷きパッドなら可
- しまう場所は押し入れの上段。すのこを敷き、壁から離す
- しまう日は「数日晴れが続いた乾燥した日」を選ぶ
表参道布団店の肌掛け布団は、すべて綿100%の側生地で仕立てています。吸湿・放湿性があるため、夏のあいだも湿気をためこみにくく、手入れがしやすい構造です。





