リサイクルダウンとは、使用済みの羽毛製品から回収した羽毛を、洗浄・選別して再び使えるようにしたものです。「再生羽毛」とも呼ばれます。

「中古の羽毛」と聞くと抵抗を感じるかもしれませんが、適切に洗浄されたリサイクルダウンは、新品の羽毛と機能的な差がほとんどありません。理由は、羽毛が劣化する主因が「汚れ」であり、洗浄によってそれを取り除けるからです。

この記事では、リサイクルダウンの製造工程、新品との違い、選ぶときの基準を専門店の立場から解説します。

この記事でわかること

  • リサイクルダウンがどう作られるか
  • 新品の羽毛と比べて何が同じで、何が違うのか
  • 品質の見分け方(選ぶときの基準)
  • なぜ羽毛は再生できるのか

リサイクルダウンとは

リサイクルダウンは、次のような経路で回収された羽毛を原料としています。

  • 買い替えや打ち直しの際に回収された羽毛布団
  • 製造工程で生じた端材
  • 羽毛製品のリサイクル回収プログラムで集められたもの

これらを解体し、羽毛だけを取り出して洗浄・乾燥・除塵し、品質ごとに選別したものが、リサイクルダウンとして流通します。

なぜ羽毛は再生できるのか

羽毛が再生可能な素材である理由は、その構造にあります。

ダウンは、中心から放射状に細い繊維が伸びた球状の構造をしています。この繊維が空気を抱え込むことで暖かさが生まれます。そして、この構造そのものは、使用によって化学的に変質するわけではありません。

使用中に起こるのは、主に次の2つです。

  1. 汚れの付着:寝汗、皮脂、ホコリが羽毛に付着し、繊維が束になって膨らみが落ちる
  2. 物理的な破損:圧縮や叩きによって繊維が折れる

このうち1は洗浄で解決します。2は元に戻りませんが、破損した羽毛は選別の段階で取り除かれます。

つまり、「汚れて膨らまなくなった羽毛」は、洗えば膨らむようになるということです。化学繊維がへたったら廃棄するしかないのとは、根本的に異なります。

リサイクルダウンの製造工程

  1. 回収:使用済みの羽毛製品を集める
  2. 解体:側生地を解き、羽毛を取り出す
  3. 除塵:ホコリや砕けた羽毛の破片を風力で除去する
  4. 洗浄:水と設備を使って油脂と汚れを落とす
  5. 乾燥:低温で時間をかけて乾かす
  6. 選別:ダウン率・ダウンパワーを測定し、品質ごとに仕分ける
  7. 検査:第三者機関による性能評価

この工程のうち、品質を決定的に左右するのが洗浄と選別です。

洗浄が品質を決める

洗浄が不十分だと、汚れが残り、においが出て、膨らみも戻りません。リサイクルダウンの品質差は、ほぼここに集約されます。

表参道布団店では、山梨県白州の地下天然水を使い、洗剤を使わずにJIS規格の2倍まで洗浄しています。水そのものの質にこだわるのは、すすぎ残しが最終的なにおいと清潔さを決めるためです。

選別で上限が決まる

回収された羽毛の品質は一様ではありません。もともとダックだったもの、グースだったもの、破損が進んでいるもの、まだ十分な性能を持つもの。これらをどこまで厳しく選別するかで、最終的な品質が決まります。

表参道布団店では、国内に現存する高品質なリサイクルダウンを独自に収集し、そのなかからダウン率93%以上・ダウンパワー400㎤/g以上のもののみを選定しています。

新品の羽毛との違い

項目新品羽毛リサイクルダウン(適切に処理されたもの)
ダウンパワー300〜450㎤/g選別により400㎤/g前後も可能
ダウン率50〜95%選別により93〜94%も可能
清潔さ洗浄基準による洗浄基準による(新品と同じ論点)
においの出にくさ洗浄基準による同上
原料の安定供給安定回収量に依存する
価格高い抑えられる
産地の特定可能困難(混合されるため)

機能では差がつかない

表参道布団店のClean Cycle Sleep Down 冬用本掛けは、国内第三者機関の測定でダウンパワー400㎤/g・ダウン率94%という結果を得ています。これは同店の新品ホワイトグース(ダウンパワー400㎤/g・ダウン率93%)と同等の数値です。

「リサイクルだから性能が落ちる」のではなく、「選別と洗浄の水準次第」というのが正確な理解です。

差がつくのは産地の特定

新品羽毛であれば「ポーランド産ホワイトグース」といった産地と種類の特定ができます。リサイクルダウンは複数の出所の羽毛が混ざるため、これができません。

産地にこだわりたい方は新品を、機能と価格のバランスを重視する方はリサイクルダウンを、という選び方になります。

リサイクルダウンを選ぶときの基準

リサイクルダウンは品質の幅が非常に広い素材です。次の項目を確認してください。

1|ダウンパワーとダウン率が公開されているか

もっとも重要です。数値を公開していない製品は、選別の水準が不明です。冬用として使うなら、ダウンパワー350㎤/g以上、ダウン率90%以上を目安にしてください。

2|第三者機関の測定結果か

自社申告ではなく、外部の検査機関が測定した数値かどうか。リサイクルダウンは原料のばらつきが大きいため、実測値の開示は特に重要です。

3|洗浄についての説明があるか

どこで、どのような基準で洗っているかを説明しているか。リサイクルダウンにおいて洗浄は品質の中核であり、ここに言及がない製品は避けたほうが安全です。

4|においの対策

リサイクルダウンで最も懸念されるのがにおいです。洗浄が十分であれば問題ありませんが、不安がある場合は返品条件を確認しておいてください。

においの原因と対処は羽毛布団の臭いの原因と消し方【専門店が解説】で解説しています。

他の「再生素材」との違い

近年、寝具やアパレルで再生素材を使う動きが広がっています。ただし、素材によって「再生」の意味は大きく異なります。

素材再生の方法性能の変化
リサイクルダウン洗浄・選別のみ。素材そのものは変えない選別次第で新品と同等
リサイクルポリエステルペットボトル等を溶かして再紡糸新品とほぼ同等
反毛(再生綿)古繊維を機械でほぐして再利用繊維が短くなり、強度は落ちる
リサイクルウール古着を裁断してほぐし、再紡糸繊維長が短くなり、風合いが変わる

羽毛が特異なのは、再生に化学的・機械的な加工を必要としない点です。溶かすことも、裁断することも、紡ぎ直すこともありません。洗って選ぶだけで、元の構造がそのまま使えます。

これは、羽毛が「繊維」ではなく「立体的な構造体」であることによります。ダウンボールという球状の形そのものが機能なので、形が壊れていなければ性能は残っています。

リサイクルダウンの品質のばらつき

リサイクルダウンは、原料が回収品である以上、品質が一定ではありません。ここが新品羽毛ともっとも違う点です。

ばらつきが生まれる理由

  • 元の製品の品質が違う:高級グース布団も、安価なダック布団も、同じ回収の流れに入ります
  • 使用年数が違う:5年使われたものと30年使われたものでは、破損の度合いが違います
  • 使われ方が違う:圧縮保管されていたもの、叩かれ続けたものは、繊維が折れています

だから選別が決定的に重要になる

回収したものをそのまま使えば、品質は「平均」になります。厳しく選別すれば、上位だけを取り出せます。

表参道布団店では、国内に現存する高品質なリサイクルダウンを独自に収集し、そのなかからダウン率93%以上・ダウンパワー400㎤/g以上のもののみを選定しています。選別に手間をかけるぶんコストは上がりますが、新品と同等の数値を確保できます。

選別の水準を見分ける

消費者から選別の工程は見えません。判断材料は数値の開示だけです。

  • ダウンパワーとダウン率が具体的な数値で示されているか
  • それが第三者機関の測定結果か、自社申告か
  • 洗浄の方法と基準が説明されているか

「リサイクルダウン使用」とだけ書かれ、数値がない製品は、選別の水準が不明です。この場合、価格相応と考えるのが妥当でしょう。

サステナビリティという観点

羽毛はもともと副産物

羽毛は食肉加工の過程で得られる副産物です。捨てられるはずだった素材を利用しているという点で、もともと資源効率の高い素材だといえます。

再生によって循環する

さらに、使い終わった羽毛が再び布団になることで、資源が循環します。新たに水鳥を育てる必要も、廃棄物を出す必要もありません。

羽毛布団は、粗大ごみとして処分するとかさばり、焼却にもエネルギーを要します。再生に回すことは、処分の負担そのものを減らすことでもあります。

打ち直しという形の再生

いま使っている羽毛布団を打ち直す(リフォームする)ことも、同じ循環の一部です。自分の布団の羽毛を洗浄し、不足分を補って仕立て直します。

表参道布団店の布団打ち直し/Clean Cycle Reformでは、洗浄に伴って不足したダウンを、自社のClean Cycle Downで補っています。

表参道布団店のリサイクルダウン

Clean Cycle Down

日本国内で流通するリサイクルダウンから、特に品質・性能が優れたグースダウンを選別したものです。

  • ダウン率93%以上・ダウンパワー400㎤/g以上のみを選定
  • 山梨県白州の地下天然水で、洗剤不使用・JIS規格の2倍まで洗浄
  • 国内第三者機関による測定でダウンパワー400㎤/g、ダウン率94%
  • 富士吉田の縫製職人が国内で一枚ずつ仕立てる

商品は冬用本掛け、春秋用合い掛け、夏用肌掛け、枕を展開しています。

詳しい思想はClean Cycle Down 〜新品羽毛を超える美しさ〜をご覧ください。

Flower Down

イタリア産のリサイクルダウンと、カポックの木の実から採れた繊維をブレンドした素材です。カポックの繊維は空気を含んで熱を逃がしにくく、「木に実るダウン」とも呼ばれます。

  • イタリア産リサイクルダウン約75%、カポック約25%
  • ダウンパワー360㎤/g(720フィルパワー相当)
  • イタリアのミナルディ社より国内で初めて直輸入

詳細はイタリアで生まれたフラワーダウンとは?をご覧ください。商品は冬用本掛けなどを展開しています。

よくある質問

リサイクルダウンは衛生的ですか?

洗浄の水準によります。適切に洗浄されたリサイクルダウンは、新品と同等に清潔です。むしろ、洗浄が不十分な新品羽毛のほうが、においや汚れの問題が出ることがあります。数値と洗浄方法が公開されている製品を選んでください。

リサイクルダウンは新品より暖かくないのですか?

選別の水準次第です。ダウンパワー400㎤/gのリサイクルダウンと、ダウンパワー400㎤/gの新品羽毛では、暖かさは同等です。数値で比較してください。

においはしませんか?

洗浄が十分であれば、においはほとんどありません。においが出る場合は、洗浄不足か、乾燥不足が原因です。これは新品羽毛でも同じ論点です。

リサイクルダウンは安いのですか?

原料コストが抑えられるぶん、同等の性能で価格を下げられます。ただし、洗浄と選別に手間をかけるほどコストは上がるため、極端に安いものは選別が甘い可能性があります。

寿命は新品より短いですか?

選別で破損した羽毛を除いてあれば、大きな差はありません。適切に手入れすれば10年以上使えます。また、リサイクルダウンの布団も、さらに打ち直して使い続けられます。

RDS認証はありますか?

RDS認証は新品羽毛のサプライチェーンを対象とした制度です。リサイクルダウンは、そもそも新たな採取を伴わない素材であるため、別の考え方が適用されます。RDS認証についてはRDSダウン 環境負荷の少ない羽毛調達へをご覧ください。

リサイクルダウンの布団も打ち直しできますか?

できます。リサイクルダウンも羽毛である以上、洗浄すれば膨らみが戻ります。一度再生した羽毛を、さらに再生して使い続けられるということです。適切に扱えば、同じ羽毛が何十年も循環します。

まとめ

  • リサイクルダウンとは、使用済みの羽毛を洗浄・選別して再び使えるようにしたもの
  • 羽毛が劣化する主因は汚れであり、洗浄で解決できる。だから再生が成立する
  • 適切に選別・洗浄されたものは、新品羽毛と機能的な差がほとんどない
  • 品質を左右するのは洗浄と選別。数値が公開されているかを確認する
  • 新品との違いが出るのは、産地や種類の特定ができない点
  • 羽毛はもともと副産物であり、さらに循環できる。打ち直しも同じ考え方の延長にある

Clean Cycle Sleep Down 冬用本掛け/リサイクルダウン

Flower Sleep Down 冬用本掛け/リサイクルダウン