羽毛布団を「自分に合わせて作る」方法は、大きく2つあります。ひとつは受注生産(バイオーダー)で、仕様を選んで新しく仕立ててもらう方法。もうひとつは打ち直し(リフォーム)で、いま使っている布団の羽毛を活かして仕立て直す方法です。
この記事では、それぞれで何を選べるのか、どんな人に向くのかを整理します。既製品では合わない事情がある方、思い入れのある布団を活かしたい方に向けた内容です。
この記事でわかること
- 羽毛布団で「選べる」仕様の範囲
- 受注生産と打ち直し、それぞれの特徴
- 既製品で合わないケースと、その解決方法
- 依頼するときに確認すべきこと
羽毛布団で選べる仕様
羽毛布団は、次の要素の組み合わせで決まります。このうちどれを選べるかが、店によって異なります。
| 要素 | 選択肢の例 | 何が変わるか |
|---|---|---|
| 羽毛の種類 | グース/マザーグース/リサイクルダウン | ダウンパワー、価格 |
| 充填量 | 肌掛け/合い掛け/本掛け | 暖かさ、使用時期 |
| サイズ | シングル〜キング | 寝床との適合 |
| 側生地の番手 | 60番手/80番手/100番手 | 肌当たり、軽さ |
| 色・パイピング | 黒/白など | 見た目 |
| キルト構造 | 立体/二層 | 保温性、重さ |
既製品でも「選ぶ」余地はある
完全な一点物を作らなくても、上の要素を組み合わせられれば、多くの場合は十分に「自分に合った布団」になります。
実際、羽毛布団で本当に個別対応が必要になるのは、特殊なサイズ(旅館用、規格外のベッド)や、体格が極端に大きい・小さい場合に限られます。
受注生産(バイオーダー)という方法
受注生産とは
注文を受けてから一枚ずつ仕立てる方式です。在庫を作らないため、次のような違いが生まれます。
- できたてが届く:倉庫で長期保管された布団ではない
- 仕様を選べる:サイズ、充填量、色などを注文時に指定できる
- 在庫コストが乗らない:その分を品質か価格に回せる
一方、注文から納品までに時間がかかります。急ぎで必要な場合には向きません。
表参道布団店が受注生産にこだわる理由は羽毛布団の受注生産にこだわる理由、そして#5 なぜバイオーダーで作るのか。で書いています。
受注生産で選べること(表参道布団店の場合)
- 羽毛の種類:マザーグース(ダウンパワー450㎤/g)/ホワイトグース(400㎤/g)/Clean Cycle Down(400㎤/g)/Flower Down(360㎤/g)
- 季節:夏用肌掛け/春秋用合い掛け/冬用本掛け
- サイズ:シングル/セミダブル/ダブル/クイーン/キング
- パイピングカラー:黒/白
同じ羽毛・同じ仕立てで季節違いを揃えられるため、一年を通して寝心地が揃うという利点があります。
打ち直し(リフォーム)という方法
打ち直しとは
いま使っている羽毛布団の側生地を解き、中の羽毛を取り出して洗浄し、不足分を補充して、新しい側生地に仕立て直す方法です。
「オーダーメイド」という言葉から連想されるものに、実はもっとも近いのがこれです。自分の布団の羽毛を使い、仕様を選んで作り直すからです。
打ち直しで選べること
- 側生地の番手:標準の60番手サテンから、100番手サテンへの変更も可能(追加料金)
- サイズの変更:羽毛の量が足りれば、サイズを変えられる場合があります
- 仕上がりのデザイン:新しい側生地のデザインになります
表参道布団店の布団打ち直し/Clean Cycle Reformは、シングル45,800円から。取り出した羽毛を山梨県白州の地下天然水で洗剤を使わずに洗浄し、不足したダウンは自社のClean Cycle Downで補います。100番手サテンへの生地変更は+¥12,000〜でご相談いただけます。
打ち直しが向くケース
- もともと良質な羽毛(グース・ダウン率90%以上)を使った布団だった
- 側生地は傷んでいるが、中の羽毛はまだ量がある
- 嫁入り道具、贈り物など、捨てられない事情がある
- 新品を買うより費用を抑えたい
打ち直しが向かないケース
- もともとダウン率が低い(70%以下)、フェザー主体の布団
- 羽毛の量そのものが大きく減っている
- においが取れない
打ち直しは「元の羽毛の質」以上には仕上がりません。品質表示ラベルでダウン率を確認してから判断してください。判断基準は布団の打ち直し・リフォームとは?費用・流れ・依頼すべきタイミングを専門店が解説にまとめています。
既製品で合わないケースと解決方法
ケース1|背が高く、丈が足りない
身長180cm以上の方では、標準的な210cmの丈では肩と足元を同時にカバーしきれないことがあります。
解決方法:ワンサイズ上(幅の広いもの)を選ぶと、丈は同じでも横の余裕が増え、肩口の隙間が減ります。丈そのものを長くしたい場合は、特注対応が可能かを個別に相談してください。
ケース2|寝返りが多く、布団がずれる
解決方法:サイズを一つ上げると解決することが多い症状です。また、カバーの四隅と中間のひもをすべて留めると、布団とカバーのずれが減ります。
ケース3|暑がりだが、冬は寒い
解決方法:本掛け一枚ではなく、合い掛けと肌掛けを揃えて使い分けるほうが調整が効きます。同じ羽毛・同じ仕立てのシリーズで揃えると、寝心地が揃います。
ケース4|重い布団が苦手
解決方法:ダウンパワーの高い羽毛を選ぶと、同じ暖かさで軽くなります。ダウンパワー450㎤/gなら、400㎤/gより100g以上軽い充填量で同等の膨らみが出ます。側生地を高番手にすると、生地自体も軽くなります。
ケース5|規格外のベッドを使っている
海外製ベッドや造作ベッドでは、日本の規格サイズが合わないことがあります。
解決方法:寸法を測ったうえで、個別に相談してください。既製サイズで代用できる場合もあります。
サイズの考え方|規格と実寸
羽毛布団のサイズは、日本国内では次の規格が一般的です。
| 名称 | 掛け布団の寸法 | 対応する敷き寝具の幅 | 使用人数 |
|---|---|---|---|
| シングル | 150×210cm | 97〜100cm | 1人 |
| セミダブル | 170×210cm | 120cm | 1人(ゆったり) |
| ダブル | 190×210cm | 140cm | 2人 |
| クイーン | 210×210cm | 160cm | 2人(ゆったり) |
| キング | 230×210cm | 180cm | 2人+子ども |
掛け布団の幅が敷き寝具より50cm前後大きいのは、体の左右に垂れ下がる部分を確保するためです。この垂れ下がりが「壁」になって、暖気が横から逃げるのを防ぎます。
丈は210cmが標準
日本の羽毛布団は、サイズにかかわらず丈が210cmで統一されているのが一般的です。身長180cm以上の方では、肩まで引き上げると足元が出ることがあります。
この場合、丈を伸ばすより幅を上げるほうが実際的です。幅に余裕があれば、多少斜めに使っても隙間ができません。丈そのものを長くしたい場合は、特注対応が可能かを個別にご相談ください。
海外製ベッドの場合
海外製のベッドは、日本の規格と寸法が異なります。とくに北米・欧州のサイズは名称が同じでも実寸が違うため、必ずマットレスの実寸を測ってから選んでください。
| 海外の名称 | おおよその幅 | 日本での近いサイズ |
|---|---|---|
| Twin(米) | 約99cm | シングル |
| Full / Double(米) | 約137cm | ダブル |
| Queen(米) | 約152cm | クイーン |
| King(米) | 約193cm | キング |
季節で揃えるという考え方
「自分に合った布団」を考えるとき、一枚で一年を通すのではなく、季節ごとに厚みを替えるほうが快適になります。
同じ羽毛・同じ側生地・同じ仕立てで、充填量だけが違う3枚を揃えると、季節が変わっても寝心地の質感が揃います。羽毛の種類が違うと、膨らみ方も肌当たりも変わってしまうためです。
| 種類 | 充填量(シングル) | 使用時期 |
|---|---|---|
| 肌掛け布団 | 0.3〜0.4kg | 6〜9月 |
| 合い掛け布団 | 0.8kg前後 | 4〜6月/9〜11月 |
| 本掛け布団 | 1.2〜1.3kg | 11〜3月 |
一度に3枚揃えるのが難しい場合は、使用期間の長い本掛けから買い、翌年に肌掛け、その次に合い掛けという順序が現実的です。
仕様を決めるときの考え方
羽毛の種類をどう選ぶか
| 優先したいこと | 選ぶべき羽毛 |
|---|---|
| とにかく軽く | ダウンパワー440㎤/g以上のマザーグース |
| 暖かさと価格のバランス | ダウンパワー400㎤/g前後のグース |
| 予算を抑えつつ品質を保つ | 数値を公開しているリサイクルダウン |
| 環境への配慮 | RDS認証の新品羽毛、またはリサイクルダウン |
側生地の番手をどう選ぶか
- 60番手:標準。丈夫で扱いやすい。日常使いに十分
- 80番手:しなやかで軽い。肌当たりが明確に変わる
- 100番手:最上級。シルクのような滑らかさ。軽さも最大
番手が上がると生地自体が軽くなるため、布団全体の重さも下がります。「軽さ」を求める場合、羽毛の質と側生地の番手の両方が効きます。
違いの詳細は60サテンと80サテンの違いとは?羽毛布団の側生地の選び方を専門店が解説をご覧ください。
色をどう選ぶか
カバーを掛けて使うため、本体の色は基本的に見えません。ただし、白系のカバーを使う場合、濃色の本体が透けることがあります。カバーの色と合わせて考えてください。
納期の目安と発注時期
受注生産・打ち直しとも、注文から納品まで時間がかかります。時期による混雑も加わります。
| 時期 | 混雑度 | 納期の目安 |
|---|---|---|
| 4〜6月 | 空いている | 短い。打ち直しに最適 |
| 7〜8月 | やや空いている | 短い |
| 9〜11月 | 繁忙期 | 長い。余裕をもって |
| 12〜2月 | やや混雑 | 中程度 |
| 3月 | 空いてくる | 短い |
冬に使い始めたい場合、遅くとも10月中には発注してください。打ち直しであれば、春から夏に出すのが理想です。使い終わった直後で汚れを持ち越さず、繁忙期も外せます。
依頼するときに確認すべきこと
受注生産の場合
- 納期はどれくらいか
- ダウン率・ダウンパワーが開示されているか
- 洗浄の方法と基準が説明されているか
- 側生地の素材と番手
- キルト構造
- 返品・交換の条件
打ち直しの場合
- 羽毛の洗浄方法と基準
- 不足分を何で補うのか(補充する羽毛の品質)
- 側生地の選択肢と追加料金
- サイズ変更が可能か
- 納期
- 集荷・配送の方法
- 打ち直しできない場合の判断と連絡
とくに「不足分を何で補うのか」は重要です。もともと良質な羽毛に低品質な羽毛を混ぜると、全体の性能が下がります。補充する羽毛の品質が明示されているかを確認してください。
よくある質問
羽毛布団のオーダーメイドはできますか?
「羽毛の種類・充填量・サイズ・側生地・色を選んで仕立てる」という意味では可能です。完全な一点物の特注は店によって対応が異なるため、寸法や条件を伝えて個別にご相談ください。
受注生産と既製品では何が違いますか?
受注生産は注文を受けてから仕立てるため、倉庫で長期保管された布団ではなく、できたてが届きます。また在庫コストが価格に乗りません。一方、納期はかかります。
打ち直しとオーダーメイドはどう違いますか?
打ち直しは、いま使っている布団の羽毛を再利用して仕立て直します。新しい羽毛から作るのではないぶん費用を抑えられ、思い入れのある布団を活かせます。
サイズの変更はできますか?
打ち直しの場合、中の羽毛の量が足りればサイズ変更が可能なことがあります。大きくする場合は羽毛の補充が必要です。事前にご相談ください。
側生地だけ交換できますか?
側生地の交換は、羽毛を取り出して詰め直す作業を伴うため、実質的に打ち直しと同じ工程になります。洗浄も同時に行うほうが合理的です。
納期はどれくらいですか?
受注生産・打ち直しとも、時期によって変動します。とくに秋(9〜11月)は需要が集中するため、余裕をもってご相談ください。
特注の費用はどれくらいかかりますか?
仕様によります。まずは寸法と条件をお伝えいただき、対応可否と費用をご確認ください。
仕上がりが気に入らなかった場合はどうなりますか?
打ち直しは、お客様の羽毛を使って作り直す加工サービスです。作り直した時点で元には戻せないため、購入品のような返品はできないのが一般的です。
だからこそ、依頼前の確認が重要になります。仕上がりの側生地、サイズ、充填量の目安、補充する羽毛の品質を、事前に書面やメールで確認しておいてください。
羽毛が足りないと言われたらどうなりますか?
解体してみたら想定より羽毛が少なかった、というケースがあります。この場合、次のいずれかになります。
- 補充量を増やして仕上げる(追加料金が発生することがあります)
- サイズを下げて仕上げる(シングル→ジュニアなど)
- 打ち直しを中止し、返却する
どう対応するかは店によって異なります。依頼前に「羽毛が不足していた場合の扱い」を確認しておくと、後のやり取りがスムーズです。
2枚の布団を1枚にまとめられますか?
技術的には可能な場合があります。古い布団が2枚あり、それぞれ羽毛が減っている場合、合わせて1枚にするという方法です。ただし、羽毛の質が揃っていないと、仕上がりにムラが出ます。事前に相談してください。
ベビー布団やジュニアサイズも作れますか?
店によります。サイズの規格が限られている場合もあるため、寸法を伝えて確認してください。
相談だけでも可能ですか?
可能です。寸法や条件をお伝えいただければ、対応可否と費用をお伝えします。
まとめ
- 羽毛布団を自分に合わせる方法は、受注生産と打ち直しの2つ
- 選べるのは、羽毛の種類・充填量・サイズ・側生地の番手・色など
- 受注生産は、在庫を持たないためできたてが届き、在庫コストも乗らない
- 打ち直しは、自分の布団の羽毛を活かして仕立て直す方法。思い入れのある布団に向く
- 打ち直しは「元の羽毛の質」以上には仕上がらない。ダウン率を確認してから判断する
- 依頼時は、洗浄方法と「不足分を何で補うのか」を必ず確認する




